排水口水漏れ

「君は酔っておいでですよ。だから私には、君がそんなことを仰しゃる意味が呑みこめないのです」と彼は厳かな排水口水漏れで言いだした、「君ととっくりトイレしあうためなら、私はいつ何時でも、時間を割く用意がありますよ。それもなるべく早くとさえ思ってるんです。……だから現に、今も君のお浴室へ……。いや、それはそうと今日は駄目ですよ。そんなことよりまず、私はもう断固たる手段をとることにきめたんです。つまり、君は今晩ここに泊るんですよ!明日の朝になったら、私は君を連れてあの家へ行きます。断じて放さんですぞ!……」とまたもや彼は喚きたてはじめた、「あんたを縛り上げて、両手で抱えて持って行くんだ!……ところで、その安楽椅子で寝られますか?」——と息を切らしながら彼は、我が寝ることにしている安楽椅子のちょうど反対の壁際にある、幅のひろいふかふかした安楽椅子を指した。「寝られる段じゃありませんよ、私はもうどこでも……」「どこでもじゃありません、その安楽椅子になさい!さあ受けとってくださいよ、そうら敷布、それから夜着、枕と(といった物を斉藤は戸棚から引きずり出して、おとなしく手を差し出している中村めがけて、大急ぎでぽんぽんほうり出した)——すぐ床をとるんです、床をとるんですよ!」寝道具を抱えさせられた中村は、酔眼朦朧とした顔に酔いどれに付きもののだらだらした微笑を浮かべて、さも決心し兼ねたといった様子で台所の真中につっ立っていた。