排水口修理

「よろしい、じゃあ、のっけからびしびしやりますがね、まず第一にあんたは——碌でなしだ!」と斉藤は吐き出すような声でどなりつけた。「のっけからそれじゃあ、おしまいにはどうなりますかね?」と中村はひどく恐れをなしたらしく、情ない声で排水口修理の申したてにかかったが、斉藤は耳も借さずにどなりたてた。——「あんたの娘さんは死にかけてるんですよ、水漏れなんですよ。あんたはあの子を棄てたんですか、棄てたんじゃないんですか?」「死にかけてるって、そりゃまた本当ですか?」「水漏れも水漏れ、極めて重態なんです!」「いや多分、例のちょっとした発作で……」「馬鹿なことを!あの子はきわめて重態なんです!それでなくても君は当然、顔を出すべき……。」「お礼を申しあげにね、おもてなしにあずかった御礼を言上にね!もとより百も承知でさ!田中、まあきいてくださいよ」と言いざま、彼はいきなり両手でもってお客の手首をしっかと捉え、酔漢特有の感動にあやうく涙をこぼさんばかりのていで、まるで謝罪でもするような調子で叫びたてた、「田中、まあお静かに、お静かに!よしんばこの私がですな、くたばったにしたところで、たった今、ぐでんぐでんのままねう゛ぁ河へはまりこんだにしたところで、——目下の局面からみて別に大したこともないじゃありませんか?それにまた、嶋田さんのところなら、行こうと思えばいつだって行けるんですし……。」斉藤ははっと気づいて、腹の虫を少し抑えつけた。